Posted by なば - 2008.09.01,Mon
それは、八月もあと一時間で終わりを迎えようとしていた頃でした。
私と父は母の命令により洗濯物を乾燥機にかけ、車で帰宅しようとしていました。
私の家は茨城の田舎にあるもので、周りは畑ばかりで街灯もほとんどありません。
そして、なかなか慣れないスコールもあってか、その視界は酷く狭いものとなっていました。
そんな中、父が突然言いました。
「…おい」
私は携帯から父の視線のほうへと目をやります。
女の人が立っていました。
真夜中11時。
全身が真っ白な服(ワンピース?)を身に付け、深くビニール傘を持ち、女の人が立っていました。
その姿は背景の黒から浮き出ているような、ひどく存在感があったのを覚えています。
異様なのは、その女の人立っている位置。
車道と歩道を分ける石の上。
その足は素足でした。
バス停の前ではありますが、そのバスは一時間以上前に最終バスを過ぎていました。
これは後から父に聞いた話ですが、父はその女の人と目が合ったそうです。
少女であったと、父は言っていました。
家に帰り、その話を母にすると
「それはバスが無くなって困っている女の子に決まっている」
と母が言い、そのまま車でバス停まで行ってしまいました。
その間、数分。
帰って来た母は
「誰もいなかった」
と、そう言いました。
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